舞台編『ヒーロー2』四月は最後です。
階員は深夜の歓楽から離れ、私も都会の喧騒から離れ…登校。
講義終了を首を長くして待っているあいだ、演出助手の中村さんと舞台美術のステファニーさんが稽古についてくださっていました。
中村さんがいる稽古場では何やら議論が展開されていたり、物語の顛末に涙ぐんでいたりしていたようですが…。
稽古日数は、しめて八日目。一週巡って、また新しい週をむかえます。
これからのことに思い馳せながら帰ると、これまでの稽古場になかったものを目の当たりにしたのでした。
碁盤に電気ポッド、椅子、そして掃除機(パワフル吸引)。
ステファニーさんの手により、劇場で置かれていた物たちを模して、稽古場に初めて物が置かれていました。
自慢の長い首で舞台と客席のあいだを渡していた掃除機は、境界線の向こうで暖房のきいた床に寝そべっています。

太田さんも寝そべっています。
さりげに巻かれた首のマフラーがSF漫画に出てくるヒーローを彷彿とさせます。
一方で巡り巡る議論の末、俳優という衣装を脱ぎ捨てるべく、缶を置いた諸江さんが手にしたのは…。

掃除機でした。
缶の階、本日付で掃除機の階へ。
ということにはきっとなりませんが、掃除機は諸江さんの手となり声となり、観衆を笑いの渦へと巻き込んでいったのでした。
はたして手放した缶は彼の手に戻ってくるのか。それとも…。
五月と六月はお休みです。
続きは七月に。
演出助手・杉本奈月
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